解析者: Melvin Jhun Palbusa   

 別名:

Ransom:Win32/Inc.MA!MTB (MICROSOFT)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:

  • マルウェアタイプ:
    身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)

  • 破壊活動の有無:
    なし

  • 暗号化:
    なし

  • 感染報告の有無 :
    はい

  概要

感染経路 他のマルウェアからの作成, インターネットからのダウンロード

トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

マルウェアは、ワーム活動の機能を備えていません。

マルウェアは、バックドア活動の機能を備えていません。

マルウェアは、情報収集する機能を備えていません。

身代金要求文書のファイルを作成します。 以下のファイル拡張子を持つファイルは暗号化しません。

  詳細

ファイルサイズ 165,376 bytes
タイプ EXE
メモリ常駐 なし
発見日 2024年5月28日
ペイロード 画像の表示, ファイルの暗号化, システムのレジストリの変更, プロセスの強制終了

侵入方法

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

マルウェアは、以下のファイルを作成します。

  • %User Temp%\background-image.jpg
  • %System%\spool\PRINTERS\00002.SPL
  • %System%\spool\PRINTERS\00002.SHD

(註:%User Temp%フォルダは、現在ログオンしているユーザの一時フォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\Local Settings\Temp"です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Local\Temp" です。. %System%フォルダは、システムフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、"C:\Windows\System32" です。.)

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • bcdedit.exe /set {default} safeboot network → If --safe-mode parameter is used.
  • shutdown.exe -r → If --safe-mode parameter is used.

他のシステム変更

マルウェアは、以下のレジストリ値を変更します。

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Explorer\
CLSID\{645FF040-5081-101B-9F08-00AA002F954E}\DefaultIcon
(Default) = %System%\imageres.dll,-55

(註:変更前の上記レジストリ値は、「%System%\imageres.dll,-54」となります。)

マルウェアは、以下のレジストリ値を変更し、デスクトップの壁紙を変更します。

HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop
Wallpaper = %User Temp%\background-image.jpg

マルウェアは、コンピュータのデスクトップの壁紙に以下の画像を設定します。

  • %User Temp%\background-image.jpg

感染活動

マルウェアは、ワーム活動の機能を備えていません。

バックドア活動

マルウェアは、バックドア活動の機能を備えていません。

ルートキット機能

マルウェアは、ルートキット機能を備えていません。

プロセスの終了

マルウェアは、感染コンピュータ上で確認した以下のサービスを終了します。

  • sql
  • veeam
  • backup
  • exchange

マルウェアは、感染コンピュータ上で以下のプロセスが常駐されていることを確認した場合、そのプロセスを終了します。

  • sql
  • veeam
  • backup
  • exchange
  • java

情報漏えい

マルウェアは、情報収集する機能を備えていません。

その他

マルウェアは、以下のレジストリキーを追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\{Current Control Set}\
Control\SafeBoot\Network\
dmksvc → If --safe-mode parameter is used

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\{Current Control Set}\
Control\SafeBoot\Minimal\
dmksvc → If --safe-mode parameter is used

マルウェアは、以下を実行します。

  • Empty Recycled Bin
  • It enumerates printers in the network to print the ransom note.
  • It encrypts fixed, removable, and network drives.
  • It adds the following services: → If --safe-mode parameter is used
    • Name: dmksvc
    • Start Type: AutoStart
    • Binary Path: {Malware File Path}\{Malware Filename}

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • --debug → Display logs within the command prompt.
  • --file {File Path} → Encrypts the specified file.
  • --dir {Directory Path} → Encrypts the specified directory.
  • --sup → Uses the Windows Restart Manager API to close processes or shut down Windows services that may be keeping a file open and preventing encryption.
  • --ens → Enumerates available network shares to encrypt.
  • --lhd → Encrypt hidden drives.
  • --hide → Hide console window.
  • --safe-mode → Boots the machine in safe mode.
  • --help→ Display help information.
  • --kill → Kill process/services by mask.
  • --mode → Mode of File Encryption.
    • Fast→ Encrypts a fixed value of 1,000,000 bytes and skips a larger bytes.
    • Medium → Encrypts a fixed value of 1,000,000 bytes and skips a smaller bytes compared to fast mode.
    • Slow → Encrypt the whole file.

マルウェアは、脆弱性を利用した感染活動を行いません。

ランサムウェアの不正活動

マルウェアは、ファイルパスに以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。

  • windows
  • program files
  • program files (x86)
  • $RECYCLE.BIN
  • appdata
  • microsoft sql server

マルウェアは、暗号化されたファイルのファイル名に以下の拡張子を追加します。

  • {original file name}.{original extension}.INC

マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。

  • {Encrypted Directory}\INC-README.txt
  • {Encrypted Directory}\INC-README.html

以下のファイル拡張子を持つファイルについては暗号化しません:

  • .exe
  • .msi
  • .dll
  • .inc

<補足>
インストール

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • bcdedit.exe /set {デフォルト} safeboot network → パラメータ「--safe-mode」が使用されている場合
  • Shutdown.exe -r → パラメータ「--safe-mode」が使用されている場合

その他

マルウェアは、以下を実行します。

  • ごみ箱を空にする
  • ネットワーク内のプリンタを列挙して身代金要求文書(脅迫状)を印刷する
  • 固定ドライブ、リムーバブルドライブ、ネットワークドライブを暗号化する
  • 以下のサービスを追加する → パラメータ「--safe-mode」が使用されている場合
    • 名前: dmksvc
    • スタートタイプ: 自動実行
    • バイナリパス: {マルウェアのファイルパス}\{マルウェアのファイル名}

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • --debug → コマンドプロンプト内でログを表示する
  • --file {ファイルパス} → 指定されたファイルを暗号化する
  • --dir {ディレクトリパス} → 指定されたディレクトリを暗号化する
  • --sup → Windows Restart Manager APIを使用し、ファイルを開いたままにして暗号化を妨げている可能性のあるプロセスを閉じるか、Windowsサービスをシャットダウンする
  • --ens → 暗号化が可能なネットワーク共有フォルダを列挙する
  • --lhd → 隠しドライブを暗号化する
  • --hide → コンソールウインドウを非表示にする
  • --safe-mode → コンピュータをセーフモードで起動する
  • --help→ ヘルプ情報を表示する
  • --kill → マスクによってプロセス/サービスを強制終了する
  • --mode → ファイル暗号化モード
    • Fast → 1,000,000バイトの固定値を暗号化し、それより大きいバイトをスキップする
    • Medium → 1,000,000バイトの固定値を暗号化し、Fastモードより小さいバイトをスキップする
    • Slow → ファイル全体を暗号化する

  対応方法

対応検索エンジン: 9.800
初回 VSAPI パターンバージョン 19.302.05
初回 VSAPI パターンリリース日 2024年4月26日
VSAPI OPR パターンバージョン 19.303.00
VSAPI OPR パターンリリース日 2024年4月27日

手順 1

トレンドマイクロの機械学習型検索は、マルウェアの存在を示す兆候が確認された時点で検出し、マルウェアが実行される前にブロックします。機械学習型検索が有効になっている場合、弊社のウイルス対策製品はこのマルウェアを以下の機械学習型検出名として検出します。

     
    • TROJ.Win32.TRX.XXPE50FFF082

手順 2

Windows 7、Windows 8、Windows 8.1、および Windows 10 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 3

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 4

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %User Temp%\background-image.jpg
  • %System%\spool\PRINTERS\00002.SPL
  • %System%\spool\PRINTERS\00002.SHD
  • {Encrypted Directory}\INC-README.html
  • {Encrypted Directory}\INC-README.txt

手順 5

変更されたレジストリ値を修正します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
事前に意図的に対象の設定を変更していた場合は、意図するオリジナルの設定に戻してください。変更する値が分からない場合は、システム管理者にお尋ねいただき、レジストリの編集はお客様の責任として行なって頂くようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In In HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\CLSID\{645FF040-5081-101B-9F08-00AA002F954E}\DefaultIcon
    • (Default) = %System%\imageres.dll,-55

手順 6

このレジストリキーを削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In In HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\{Current Control Set}\Control\SafeBoot\Network\dmksvc
  • In In HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\{Current Control Set}\Control\SafeBoot\Minimal\dmksvc

手順 7

デスクトッププロパティを修正します。

[ 詳細 ]

手順 8

最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、ウイルス検索を実行してください。「Ransom.Win32.RANINC.SMYXECXT」と検出したファイルはすべて削除してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。

手順 9

暗号化されたファイルをバックアップから復元します。


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