生成AIの業務利用をリスクとして認識している組織は98.4%、65.7%が生成AIの普及が外部からの攻撃リスクへの増大に繋がると認識

~生成AIとセキュリティに関する意識調査~

2024年12月17日

トレンドマイクロ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:エバ・チェン 東証プライム:4704)と特定非営利活動法人 CIO Lounge(所在地:大阪府大阪市北区、理事長:矢島 孝應)は、国内の法人組織(従業員500名以上)の経営者、セキュリティやリスクマネジメントの責任者(部長以上)300人を対象に「生成AIとセキュリティに関する意識調査」を実施しました※1
※1 調査結果のパーセンテージは、小数点以下第二位を四捨五入した数値です。合計が100%にならない場合があります。
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■調査結果トピックス

  • 77.6%の組織で生成AIを業務利用、従業員規模が大きくなれば業務利用率も上がる傾向
  • 生成AIを利用している業務は文書・資料の作成が75.5%で最多
  • 生成AIの業務利用をリスクとして認識している組織は98.4%、65.7%が生成AIの普及が外部からの攻撃リスクへの増大に繋がると認識
  • 生成AIの業務利用に際し特段セキュリティ教育は実施していない割合は27.1%


● 77.6%の組織で生成AIを業務利用、従業員規模が大きくなれば業務利用率も上がる傾向
生成AIの業務利用について聞いたところ、業務利用を認めていると回答した割合は、77.6%でした。従業員規模が大きくなるにつれて、業務での利用を認める傾向が出ており、5000人以上の規模では8割以上の割合で業務利用を認めているという結果になっています。組織が大きくなるにつれて、投資余力の観点から生成AIサービスを導入できる予算が確保しやすいことや、部署間のコミュニケーションや情報共有の機会が多く生成AIによる効率化による恩恵が大きいことなどが、この理由として考えられます。

図1:生成AIの業務利用度合い(n=300)
質問「お勤め先の会社では、生成AIを業務で利用することを認めていますか」(単一回答)


● 生成AIを利用している業務は文書・資料の作成が75.5%で最多

生成AIをどのような業務で利用しているのかを聞いたところ、文書(メールや報告書)・資料の作成が75.5%で最多となっています。また、プログラムの作成、生成AIを活用した独自サービスの開発も3割を超えており、作業効率化以外にも技術的な側面でのニーズがあることが明らかになっています。

一方で、技術的な側面での業務利用においては、AIが提案したコードの品質や安全性の検証が不十分になる危険性などもあり、適切なリスク管理と運用ルールの整備が不可欠になります。特に大規模なシステムや個人情報などを取り扱うサービスの開発では、慎重なアプローチが求められます。

図2:生成AIの業務利用の内容(n=233:業務利用を認めている回答者に限定)
質問「お勤め先の会社では、どういった業務で生成AIを利用していますか」(複数回答)


● 生成AIの業務利用をリスクとして認識している組織は98.4%、65.7%が生成AIの普及が外部からの攻撃リスクへの増大に繋がると認識

生成AIの業務利用におけるリスクの認識について聞いたところ、「特に懸念しているリスクはない」「わからない」の回答を除く98.4%の組織が何らかのリスクを認識していることがわかっています。リスクの内容については、著作権や肖像権など法的権利の侵害が63.7%で最多、機密情報などの入力による情報漏洩が61.3%で次点となっています。実際に、著作権侵害については訴訟問題へ発展しているケース、情報漏洩についても機密情報を入力したことで誤って外部に送信してしまったケースが、それぞれ報道されています。

生成AI特有の課題として、プロンプトの入力をシステムだけで制限することが難しいため、従業員の判断に依存する部分が大きいことが挙げられます。そのため、生成AIの業務利用を行っている組織は、ガイドラインの制定や従業員教育などの人的・組織的な対応が重要になっています。

図3:生成AIの業務利用におけるリスク(n=233:業務利用を認めている回答者に限定)
質問「生成AIを業務で利用する際、リスクとして認識しているものを上位3つまでお答えください」
(3つまで回答:「特に懸念しているリスクはない」「わからない」と他の選択肢は排他)


生成AIの普及で外部からの攻撃リスクが増大するかを聞いたところ、65.7%が増大すると思うと回答しています。生成AIがサイバー攻撃者にとっても多くのメリットをもたらすツールであり、フィッシングメールの生成や、マルウェアの作成において利用されるケースが想定されます。実際に日本でも生成AIを悪用してランサムウェアを作成したとして逮捕まで至った事例が発生しており、そのリスクが現実のものとなっています。今回の調査結果では、生成AIによるサイバー脅威の増大を認識している割合が過半数を超えており、生成AIの悪用に対する懸念が広がっていることが分かります。

図4:生成AIによる外部からの攻撃リスク(n=233:業務利用を認めている回答者に限定)
質問「生成AIの普及により、外部からの攻撃リスクは増大すると思いますか」(単一回答)


● 生成AIの業務利用に際し特段セキュリティ教育は実施していない割合は27.1%
ルールやガイドラインの整備状況、セキュリティ教育の実施状況について聞いたところ、ガイドラインを整備している割合は93.6%に上る一方で、セキュリティ教育を実施していない割合は27.1%となっています。

この結果から、一定数の割合の組織が、コンプライアンス上の要請から形式的なルール化は行っているものの、それを従業員に伝える体制が構築できていないのではないかと考えられます。この状況を放置すると、ルールが形骸化してしまい、インシデントが発生する可能性が増大することが想定されます。そのため、組織においては従業員教育の機会を設けるとともに、定期的なフォローアップの機会を作っていくことが求められます。

図5:ガイドラインの整備状況(n=233:業務利用を認めている回答者に限定)
質問「生成AIの利用に関しガイドラインの整備や教育を実施していますか」(単一回答)

図6:生成AIの業務利用に際したセキュリティ教育の実施状況
(n=218:業務利用を認めている・ガイドラインを整備している回答者に限定)
質問「生成AIの利用に関しガイドラインの整備や教育を実施していますか」(単一回答)

■調査概要

調査手法(サンプリング) インターネット調査
調査地域 日本国内
調査対象者 従業員規模500名以上の法人組織の経営者、セキュリティやリスクマネジメントの責任者(部長以上)
回答者数 300
調査時期 2024年9月
調査主体 トレンドマイクロ株式会社、特定非営利活動法人 CIO Lounge
  • 2024年12月17日現在の情報をもとに作成したものです。今後、内容の全部もしくは一部に変更が生じる可能性があります。
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