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- 第10回SMILE PROJECTレポート
記念すべき第十回目のSMILE PROJECTでは陸前高田、気仙沼と気仙沼大島を訪問しました。
二日目の夕方に宮城県三陸沖を震源とするマグニチュード7.3の地震があり、私達の滞在していた大島でも、避難勧告のサイレンが鳴り続きました。最終日の三日目は暴風により大島を離れるフェリーが一時欠航する等、ハプニングが多い支援活動となりましたが、予定通りに全員怪我もなく支援活動を終えました。
【一日目の活動】
早朝から新幹線で一ノ関へ。バスに乗り換え陸前高田を経由して気仙沼唐桑に向かいました。小原木(こはらぎ)小学校を訪問し、地元の図書館の方と小学校1、2年生を対象にiPad教室を開催しました。その後、ご自身も被災され、震災の語り部をされている早馬(はやま)神社の宮司の方からお話しを頂戴しました。夜はiPad教室でご一緒した図書館の方々との懇親会を行いました。
【二日目の活動】
午前中は気仙沼市役所にて、教育委員会の及川先生、元鹿折小学校の小野寺校長先生の講話がありました。午後にフェリーで大島に移動し、体を使った復興支援を開始。カキの養殖場チームと柚子農家チームに分かれて活動しました。カキの養殖場チームは、カキの養殖筏(いかだ)の浮力を高める全長150cmほどのブイの運搬作業と、筏を海上で固定するための石袋づくり(80袋、総重量1.5t)を行いました。柚子農園チームは、柚子農家の耕している畑の野菜堀りと、掘った野菜を自然冷凍保存するための穴掘り(1.5mぐらいの大穴)を行いました。夜は地元の方々との懇親会を行いました。
【三日目の活動】
午前中から再びカキの養殖場と柚子農家チームに分かれて体を使った復興支援活動を実施しました。カキの養殖場チームでは、筏から垂らしてカキを実際に養殖するためのロープ作りを行いました。荒縄を束ねてネジり、頑丈なロープにするチームと、ロープ上に細いプラスチック製の仕掛けを12個結びつけてカキを集める仕掛けづくりのチームに分かれて活動しました。柚子農家チームでは、広い農家のお掃除と柚子の仕分けのお手伝いを行いました(この記事の担当がカキの養殖場チームだったので柚子農家チームの内容があっさりしています。柚子農家チームの皆さん、すいません。)
もしかすると二日目、三日目の私達の活動の内容をご覧になって「それは復興支援活動なのか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。正しくは分かりません。ただ、今回の活動を通してお話しをさせて頂いた地元の方々との関わりの中で、以下の理由から、私はこれも復興支援活動だと感じています。
【復興の終わりとそれに至る道のり】
私達は2011年3月11日の地震とそれに続く津波から1年9か月の時を経て陸前高田大島の地を訪れました。どのメンバーもこの地を訪れるのは初めてでした。既に瓦礫は撤去され、かつて生活圏であった地には建築物の基礎を残して広々とした土地があり、津波から生き残った一本松(現在は保存処理のため場所を移されている)や、途方もない内陸に乗り上げて佇んでいる第十八共徳丸が、この地を猛烈な災害が襲ったことを静かに物語っていました。
そこに家や学校や会社や工場やショッピングセンターや娯楽施設のような街並みがあったことは、昔の写真を見れば分かります。ただ、その中で名前のあるAさんや、Bさんや、Cさんがそれぞれ家族や友人や恋人と笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら生活していた息づかいは、あったんだろうなと考えることができても、感じることができません。街並みも息づかいも、何もかも震災前の姿に元通りにすることができれば、それは復興の終わりと言えると思います。ただ、それが叶いません。亡くなられた方がおり、土地の形自体が変形してしまいました。
人間に例えると、街並みは身体で、息づかいは心だと思います。身体の治療のみを黙々と行っても、心が沈んでしまいます。心のケアのみを行っても目に映る身体が回復していかなければ、それを実感できません。激しい震災と津波により、街並みを完全に元通りにすることはできないようです。ただ、地元の方だけが知っている考える地元らしい街並みを一刻も早く取り戻すために、そこに住まう心が昔のような自由さで活動できるように、本当に微力ながらそれを取り戻すお手伝いをさせて頂いたように思います。昔の息づかいを完全に元通りにすることはできないようです。ただ、地元の方々だけが知っている自分達らしい息づかいを一刻も早く取り戻すために、そこに佇む街並みが続けていた成長軌道を取り戻すために、住む人たちを訪ねて他愛もない交流をさせて頂いたように思います。
復興の終わりは地元の方々が、新しい街並みとそこにある息づかいで充たされて、復興支援活動を不要とした時だと思います。その時がいつ来るのかは分かりません。もしかすると今回訪問した小学校の1、2年生の子供の代かもしれませんし、もっと先かもしれません。少なくとも、その時まで、この土地の外からきた人やモノやお金や情報が、地元の方々と交流できた分だけ、その時が早く来るように思いました。
スマイルプロジェクトは今後も継続して活動を続けます。復興が不要になった後と、いま実際にそれに至る道のりを歩んでいる、地元の方々のスマイルのために。
活動年月日:2012年12月7日(金)~9日(日)