AWS re:Invent 2023 出展レポート：CRM Connectorのリリース情報

AWS Marketplaceにおける弊社製品・サービスの販売推進を担当するCloud Deskの田中貴之です。AWS re:Invent 2023に現地参加しました。Marketplaceビジネスの最前線をレポートします。
AWSは、AWS Marketplaceビジネスに強くコミットしており、その推進にはAWSパートナーのイネーブルメントが不可欠であると考えているのだと感じます。なぜなら、AWS Marketplaceは多くのサードパーティーのAMI/Container/SaaS/プロフェッショナルサービスがリスティングされる場所であるからです。

リセラーやISV(Independent Software Vendor)というAWSパートナーのビジネスオペレーションの観点からは、AWS Marketplaceは、次のような課題があります。
●AWSパートナーが利用するCRMツールと、AWS Marketplaceポータルのシステム連携が未成熟である
●システム連携が未成熟であるためオペレーションが非効率である
●リスティング製品の増加やサブスクライバーのスケールにオペレーションが対応しきれない

こうした課題に対して、AWS はAWS Marketplace APIsを提供しています。今回特に、Agreement APIがリリースされました。
これによって、AWS Marketplaceの特にPrivate Offerの発行からサブスクリプション管理までのライフサイクルを、AWSパートナー組織のエコシステムに合わせて統合できるようになりました。
APIを自組織のCRMツールなどに統合することで、オペレーションを効率化、自動化し、商談情報とサブスクリプションを効果的に紐づけることができるようになります。
Private Offerのエコシステムの一例として、以下のようなステップがありますが、その多くをAWS Marketplace APIsがカバーできると説明されました。
●商談ダッシュボードを作成して状況と進捗を管理する
●顧客の要望に応じた見積もり
●Private Offerの作成
●Private Offerのレビューと承認
●Private Offerをバイヤーに発行する

AWS Marketplace APIs for Sellersは、独自アプリケーションへの組み込みを可能にします。一方で、SalesforceをCRMツールとして利用しているパートナーへの朗報は、独自開発不要でAPIが提供する機能を利用できることです。
AWS Marketplace CRM Connectorは、これまでもAPNパートナーとAWS間の情報共有に貢献してきましたが、今回はさらにPrivate Offerの管理機能も提供するようになりました。
これは、日ごろからPrivate Offer管理オペレーションと、Salesforceでの営業商談オペレーションを実施している私には非常に嬉しいリリースです。冒頭触れたように、CRMツールであるSalesforceには、商談情報が記録されているにも関わらず、その情報はAWS Marketplaceポータルとは、システム的に隔離されていました。そのため、Private Offerオペレーションを実行するには、2つの関連性のないシステムポータルを行ったり来たりする必要がありました。これは非効率なオペレーションです。
AWS Marketplace CRM Connectorは、このようなオペレーションの改善だけではなく、Marketplaceビジネスに関わる営業データを、Salesforceに一元管理させることができるため、よりカスタマーセントリックな活動にフォーカスする機会を増進させる利益が生まれます。

Private Offerの作成画面例です。
Productの選択や、バイヤーのAWSIDの入力がSalesforceから行えることが見て取れます。
AWS MarketplaceポータルでPrivate Offerを作成する場合と類似したUI/UXで、Salesforce上でPrivate Offerが作成できるため、既にAWS Marketplaceポータルに慣れたオペレーターにとって移行コストが小さく嬉しいですね。

また、Private Offerは毎回新規作成が必要であったことは、オペレーション上の大きな課題でした。これを解決するための、「既存Private OfferのClone」機能も実装されています。
個人的には、既存Cloneだけでなく、テンプレートからの作成、もまた望ましいので、今後の改善に期待をします。