Amazon Bedrockとは?特長や料金体系などを解説
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公開日
2025年2月10日
昨今、生成AIの業務利用やサービスへの活用が進みつつあります。そんな中、AmazonのクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Services)が提供する「Amazon Bedrock」は、生成AIを活用したシステムの構築を可能にする企業向けのサービスです。
この記事では、Amazon Bedrockの主な特長や料金体系のほか、同じくAWSにて提供されている「Amazon SageMaker」との違いについて解説します。
Amazon Bedrockは、AWSが提供する生成AIアプリケーションの構築に必要な機能を提供するサービス
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「Amazon Bedrock」は、最新の生成AIモデルを活用したシステムの開発に役立つ、AWS(Amazon Web Services)が提供している企業向けのサービスです。生成AIの基盤モデル(FM:Foundation Model)をAPI経由で利用することにより、大規模言語モデル(LLM)や画像生成モデルを活用した生成AIアプリケーションを簡単に構築できます。
特に注目すべきは、Amazon Bedrockを通じて大手AI企業が提供する複数の基盤モデルを利用できる点が挙げられます。Amazon Bedrockから利用できる主な基盤モデルには、「Amazon:Titan」「Meta:Llama」「Anthropic:Claude」「Stability AI:Stable Diffusion」などがあります。企業のニーズに応じて、生成AIアプリケーションに適した基盤モデルを選択し、適宜利用できる点がAmazon Bedrockの大きなメリットです。
Amazon Bedrockの特長
Amazon Bedrockにはさまざまな特長がありますが、主な特長としては、下記の6つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
幅広いシステムの構築ができる
Amazon Bedrockから利用できる基盤モデルは多岐にわたるため、さまざまなシステムを幅広く構築できる点が特長です。
基盤モデルごとにそれぞれ強みがあり、例えば、テキストの生成・要約、バーチャルアシスタント、テキスト・画像検索、画像生成といった各種機能を利用できます。これらの機能を組み合わせることにより、目的に応じたシステムを柔軟に構築可能です。
基盤モデルとは、大量のデータによってトレーニングされた大規模なAIモデルのことを指します。現在実用化されているAIモデルは、個別の分野や領域における処理が可能な特化型AIです。これに対して、多種多様なタスクや課題を理解し、解決に向けた処理が可能なAIのことを汎用AIといいます。特化型AIは、基盤モデルごとに用途が限定されているため、テキスト生成AIで画像も生成するといったことはできません。よって、目的に応じて基盤モデルを使い分ける必要があります。そのため、Amazon Bedrockを利用することにより、多様な基盤モデルを活用できることは大きなメリットといえます。
さまざまな基盤モデルを利用できる
さまざまな基盤モデルを同一のプラットフォームで利用できることも、Amazon Bedrockの特長の1つです。Amazonのほか、大手AI企業のMetaやStability AIなどが提供する基盤モデルをAmazon Bedrock経由で利用できます。利用可能な主な基盤モデルと、それぞれの概要は下記のとおりです。
基盤モデル | 概要 |
---|---|
Amazon(Titan) | ・テキスト生成、画像生成、文章要約などに対応 ・不適切や有害なコンテンツの検出と削除が可能 |
Meta(Llama) | ・テキスト要約、推論、感情分析などが可能 ・自然言語処理やテキスト生成の制度が高い |
Stability AI(Stable Diffusion) | ・テキスト入力による画像生成に対応 ・キャラクター造形や背景画像の生成などに適している |
A121 Labs(Jurassic) | ・多言語対応 ・カスタマーサポートや商品説明文の執筆などに適している |
Anthropic(Claude) | ・大量の情報(20万トークン)入力に対応 ・長文の要約やチャート・グラフなどの作成や解析に適している |
Cohere(Command Embed) | ・検索用拡張生成(RAG)に特化 ・コピーライティングやAIアシスタントの構築に適している |
Mistral AI(Mistral) | ・最小限のパラメーターで効率良く稼働 ・文章の要約やコーディングの最適化に長けている |
セキュアな利用環境が整っている
企業における生成AIの利活用に欠かせない、セキュアな利用環境が整っていることもAmazon Bedrockの特長です。
Amazon Bedrockを利用し、基盤モデルをチューニングすると、基盤モデル自体をプライベート用にコピーするため、プロバイダーにデータが共有されなくなります。そのため、社内の情報や重要なデータも安心して入力できます。閉域ネットワークにも対応しているため、基盤モデルをクローズドな環境で利用可能です。一部の生成AIでは、ユーザが入力した情報をサーバに蓄積し、AIの学習データとして利用している場合があります。こうしたタイプの生成AIを業務利用した場合、機密情報や個人情報が漏洩する原因となるおそれがあります。このようなリスクへの懸念から生成AIの導入に慎重だった企業も、Amazon Bedrockであれば強固なセキュリティを維持しつつ生成AIのメリットを活かしやすくなります。
ほかのAWSサービスとの連携ができる
Amazon BedrockはAWSの1つとして提供されているため、ほかのAWSサービスとスムーズに連携できます。
すでにAWSを利用している場合は、既存のサービスと連携させることで機能性や利便性を向上させることも可能です。例えば、現在提供しているサービスにAIチャットボットの機能を付加したり、バーチャルアシスタントによる操作説明などの機能を付帯させたりできます。
なお、AWSは多くのサービスを提供しているため、目的に応じて各サービスを組み合わせることにより、多様なシステムを構築できる点が大きなメリットです。また、AWSの日本国内における利用者は多く、インターネット上にはAWSに関する情報やノウハウが豊富に掲載されています。そのため、必要な情報が見つかりやすいこともメリットの1つです。このように、AWSならではのスケールメリットを活かせることが大きな特長といえます。
基盤モデルをカスタマイズできる
Amazon Bedrockでは、既存の基盤モデルの利用に加え、カスタマイズすることも可能です。
独自のデータを使用して基盤モデルをカスタマイズすることにより、自社の用途や求める機能性に応じたシステムを構築できます。基盤モデルのカスタマイズは、他社サービスとの差別化やユーザ体験向上のカギとなります。一例として、業界特有の用語を学習させることにより、自社のユーザに最適化されたインプットとアウトプットを実現できます。。また、さまざまな基盤モデルが強みとしている点を組み合わせることで、相乗効果を生み出すこともできます。既存の基盤モデルの活用にとどまらない、多様な活用方法が想定できることはAmazon Bedrockの特長といえます。
なお、Amazon Bedrockで利用できる基盤モデルの性能向上に役立つ技術が、ファインチューニング(Fine Tuning)とRAG(Retrieval-Augmented Generation)です。ファインチューニングは、学習済みの基盤モデルを特定のタスクに適応させるために、追加のデータで再訓練するプロセスです。モデルが新たな知識や特定のドメインに対してより高い性能を発揮させたい際に用いられます。一方、RAGは、自社内に蓄積された情報や外部の最新情報を検索して抽出し、その内容と基盤モデルに蓄積している情報をもとに生成AIに回答を生成させる技術です。
保守・管理業務を大幅に削減できる
Amazon Bedrockはサーバレスで提供されるため、システムの保守・運用を自社で担う必要がありません。
そのため、システムの保守・管理に要する手間や時間を大幅に削減し、そのリソースを効率的にシステム構築業務にあてられます。
Amazon Bedrockの料金体系
Amazon Bedrockの料金体系には、大きく分けて4つのタイプがあります。それぞれの課金方式は以下のとおりです。
料金モデル | 課金方式 |
---|---|
オンデマンド | 従量課金。トークン数や画像生成数に応じて課金される |
バッチ | 従量課金。入出力を1つのファイルにまとめて行える |
プロビジョンドスループット | 時間ベース。1ヵ月または6ヵ月の契約期間を選択できる |
モデルのカスタマイズ | トレーニングデータコーパス内のトークン数×エポック数にもとづいて課金 |
オンデマンドとバッチはいずれも従量課金プランです。ただし、オンデマンドはトークンごとに課金されますが、バッチでは一連のプロンプトをまとめて1つの入出力ファイルとして扱うことができます。大規模なデータを扱う場合には、バッチを選択するのがおすすめです。
なお、料金プランは利用する基盤モデルやデータセンターの所在地であるリージョンによって異なる点に注意が必要です。詳しい料金体系や具体的な料金例についてはAmazon Bedrockの公式サイトを事前に確認することが大切です。
Amazon SageMakerとの違い
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AWSにて提供されているAI関連のサービスには、Amazon BedrockのほかにAmazon SageMakerがあります。Amazon SageMakerとAmazon Bedrockでは、機械学習におけるサービス・システムを構築する目的やその用途が異なります。
Amazon SageMakerとは、AWSが提供する機械学習サービスのことで、主にユーザ企業の用途に合った機械学習モデルを構築し、訓練する際に活用できます。インスタンス作成やモデル構築、トレーニング、デプロイをワンストップで実施できる点が特長です。情報セキュリティ要件が厳格な場合や、一気通貫でサービスを構築する必要がある場合などに適しています。
一方、Amazon Bedrockは生成AIアプリケーションの構築に特化されたサービスです。APIを介して基盤モデルを活用できるため、短期間でサービスを構築・展開したい場合に適しています。したがって、機械学習全般に関わるサービスやシステムを構築する際にはAmazon SageMaker、生成AIに特化したサービスやシステムを構築する際にはAmazon Bedrockを活用するとよいでしょう。
AIサービスを活用する際にはセキュリティ対策も併せて検討しよう
Amazon Bedrockは、さまざまな生成AIの基盤モデルをAPI経由で利用できるサービスです。大規模言語モデルや画像生成モデルを活用した生成AIアプリケーションを簡単に、かつ短期間で構築できます。既存の基盤モデルを活用するだけでなく、独自のデータを学習させたり、複数の基盤モデルの強みを組み合わせたりするカスタマイズにも対応できることが大きなメリットです。
こうしたAIサービスを活用する際には、セキュリティ対策が重要な課題の1つとなります。トレンドマイクロの提供する「Trend Vision One」は、クラウドやそのほかの環境のセキュリティ管理・運用を統合し、リスクマネジメントにかかわる機能を一括して提供するプラットフォームです。ランタイム保護によるインシデント発生リスクの低減や不正侵入などの被害の最小化、サイバー攻撃への事前対策といった機能を活用できます。AIサービスの導入・活用を検討している場合は、Trend Vision Oneをぜひご活用ください。
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