AWSが提供するAmazon S3とは?メリットやユースケースなどを解説
公開日
2023年12月13日
Amazonが提供するクラウドプラットフォームのAWS(Amazon Web Service)には、200種以上サービスが用意され、必要なサービスだけを選んで利用することが可能です。AWSの基本的なサービスのひとつであるAmazon S3は、活用の幅が広く、多くの企業で利用されているサービスです。
ここでは、Amazon S3の機能やメリット、ユースケース、その他サービスとの連携について解説します。
Amazon S3は容量を気にせずデータを保管・管理できるオブジェクトストレージサービス
Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)は、データ容量を気にせずデータを保管・管理できるオブジェクトストレージサービスです。Webサイトやアプリケーションなどのデータバックアップ、動画や画像の格納先、アーカイブやデータ分析の基盤など、さまざまな用途に活用できます。
Amazon S3の機能
Amazon S3は、オブジェクトストレージサービスの基本であるストレージに加えて、多彩な機能を備えています。ここでは、代表的な3つの機能について解説します。
バージョニング
Amazon S3の機能として、バージョニングが挙げられます。バージョニングは、単一のデータに対して、複数のバージョンを保持するための機能です。この機能を使うと、更新や削除といった操作を行うたびに、処理前のデータが別バージョンとして記録されます。そのため、誤ってデータを上書きしたり、削除したりしてしまった場合でも、簡単に処理前の状態に戻すことができるのです。
ライフサイクル
Amazon S3の機能のひとつであるライフサイクルは、アクセス頻度の低いデータを安価なプラン(ストレージクラス)に移動させたり、Amazon S3内のデータの利用状況に応じてデータを自動で削除したりするよう、設定できる機能です。
Amazon S3には、保存したデータへのアクセス頻度や用途に応じて、複数のストレージクラスが用意されており、格納するデータの性質やデータライフサイクルに応じてストレージクラスを使い分けることで、コストを抑えることができます。ライフサイクルの機能を使うと、保存してから一定期間が経過したデータを低頻度アクセスのストレージクラスに移動させたり、さらに一定期間が経過したら削除したりするなどの設定を簡単に自動化でき、コストの効率化につながります。
静的コンテンツのホスティング
Amazon S3の機能として挙げられる、静的コンテンツに対するホスティングは、Webサイトの公開などに活用できる機能です。Amazon S3は、前もって書かれたHTMLファイルで構築されるため、どのクライアントに対しても同じ内容を表示する静的なWebサーバとして利用することができます。通常Webサイトを公開するには、別途ホスティングサーバなどが必要になりますが、Amazon S3を利用する場合は必要ありません。
Amazon S3のメリット
オブジェクトストレージサービスであるAmazon S3には、その特性によるさまざまなメリットがあります。ここでは、Amazon S3の3つのメリットについて解説します。
耐久性や可用性が高い
Amazon S3のメリットとして、耐久性や可用性が高い点が挙げられます。エラー等でデータが消失することなく、安全かつ継続的にサービスを使えることは、クラウドサービスを選ぶ上で非常に重要なポイントです。その点、Amazon S3は、保管するオブジェクトに対して99.999999999%以上の耐久性を実現できるよう設計されており、障害やエラーでデータが消失する心配がほぼありません。
Amazon S3に格納されたオブジェクトは、リージョン(AWSがサービスを提供している地域の単位)内で切り離された3つ以上のアベイラビリティーゾーンにまたがって保存され、1つのアベイラビリティーゾーンに障害が発生しても、別のアベイラビリティーゾーンに保存されたオブジェクトには影響が及ばない体制となっています。
同時に、99.9%(標準)の可用性を提供するように設計されているので、サービスの使用が不可能になる心配もほぼなく、安定して利用できます。
容量が無制限
容量が無制限な点も、Amazon S3のメリットのひとつです。Amazon S3は保存できるデータの総量とオブジェクトの数に上限がありません。ビジネスの成長に伴って保存データが増えても、容量オーバーになる可能性を懸念してデータを整理しなければいけなくなることもなく、ストレージ容量を気にせずに利用できます。個別のオブジェクトのサイズは、最低0Bから最大5TBになっています。
従量課金制の料金
料金が従量課金制であることも、Amazon S3のメリットといえるでしょう。Amazon S3の利用料金は、保存されたデータ容量、リクエスト数、データ転送量により料金が決まる従量課金制で、無駄なコストが発生することはありません。初期費用もなく、使った分だけの最低限の支払いで利用できます。またライフサイクルの機能を利用して、データの用途に応じて低コストのストレージを使用するようにしておけば、よりコストを抑えることができます。
Amazon S3のユースケース
データの保存や管理に強みのあるAmazon S3は、さまざまな場面で活用できます。ここでは、Amazon S3の代表的な5つのユースケースについて解説します。
バックアップと復元
Amazon S3は、企業のデータのバックアップと復元に活用できます。Amazon S3はファイルの形式を問わず格納でき、耐久性・可用性に優れているので、ファイルのバックアップと復元の利用に最適です。クラウド上に保存している既存データのバックアップはもちろん、AWS Storage Gatewayを使えば、オンプレミス環境のデータを自動送信でAmazon S3にバックアップすることもできます。
アーカイブ
データのアーカイブにもAmazon S3が役立ちます。アクセスする可能性の低い、長期保存データは、できる限りコストをかけずに、安全に保持することが重要です。Amazon S3のアーカイブ用ストレージクラスS3 GlacierやS3 Glacier Deep Archiveを利用すれば、低コストで保持することができます。
大容量ファイルのアップロード
Amazon S3では、大容量ファイルのアップロードも可能です。Amazon S3では、数十から数百GBに及ぶ大容量のファイルをクラウドにアップロードする際、一定以上の容量のファイルについて、自動でマルチパートアップロードが適用されます。ファイルを自動的に分割し、並列アップロードを行うというもので、アップロード時間を短縮することができる可能性があります。また、大容量のファイルのアップロードが途中で失敗した場合、リトライに大きな時間を要する場合も考えられますが、分割されていることで、このリスクを低減させることが可能です。一部のアップロードに失敗しても、すべて終わってからその部分だけ再アップロードできるので、ファイルすべてを再度アップロードする必要はありません。
データレイク作成とビッグデータ分析
Amazon S3を使えば、データレイク作成とビッグデータ分析も可能です。データレイクは、多数のソースからのビッグデータを元のままの多様な様式で保持するストレージリポジトリを指しています。AWSのデータ分析アプリケーションは、このデータレイクにアクセスできるので、作成したデータレイクのビッグデータ分析も可能となるのです。
事業継続計画の対策として利用
事業継続計画の対策として利用も、Amazon S3のユースケースのひとつといえるでしょう。高い耐久性・可用性を誇るAmazon S3にバックアップデータを保存しておくことで、自然災害やシステム障害、サイバー攻撃などで機能停止に陥った場合も素早く復旧することができるため、事業継続計画の対策として利用できます。
AWSの他サービスとの連携
Amazon S3は、AWS Storage GatewayやAWS DataSyncなど、AWSの他サービスと連携して利用することができます。例えば、AWS Storage Gatewayと連携すれば、オンプレミス環境と接続し、バックアップやアーカイブをクラウドに移動したり、クラウドでバックアップされたファイル共有でオンプレミスストレージを削減したりといったことが可能です。AWS DataSyncと連携すれば、オンプレミスからのデータ転送を自動化できます。
Trend Cloud Oneを導入してAmazon S3のセキュリティ対策をしよう
Amazon S3は非常に多彩な使い方ができる便利なサービスであり、企業はAmazon S3を活用することで、多くのメリットを得られます。一方で、AWSのセキュリティ対策は、サービスの提供者と利用者が担当する範囲を明確に区分けし、それぞれがそれぞれの範囲に責任を持つ「責任共有モデル」なので、Amazon S3を利用するにあたっては、利用者自身もセキュリティ対策をしっかり行うことが欠かせません。
トレンドマイクロのTrend Cloud Oneは、アンチウイルスやマルウェアの検知・駆除などのセキュリティ機能を備えており、Amazon S3のセキュリティ対策に効果を発揮します。情報セキュリティリスクに備え、企業のビジネスに貢献するTrend Cloud Oneをぜひお試しください。
監修
福田 俊介
トレンドマイクロ株式会社 ビジネスマーケティング本部
ストラテジックマーケティンググループ
グループ長 シニアマネージャー
IPA 情報処理安全確保支援士(第000893号)、AWS Certified Solutions Architect – Professional保有。
約10年間クラウドセキュリティ領域およびエンドポイントセキュリティ領域に従事、クラウドの最新アーキテクチャに対応するセキュリティ戦略を立案、市場啓蒙を実施。これまでのセミナー登壇は100回を超える。専門領域は「クラウド」「サーバ」「仮想化」「コンテナ」「脆弱性」「EDR」「XDR」。
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