Trend Micro Security

Ransom.Win32.RANESTATE.THGAABD

2024年7月26日
 解析者: John Rainier Navato   

 別名:

Trojan-Ransom.LockBit (IKARUS)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:


  • マルウェアタイプ: 身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)
  • 破壊活動の有無: なし
  • 暗号化:  
  • 感染報告の有無: はい

  概要

感染経路 インターネットからのダウンロード, 他のマルウェアからの作成

トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

身代金要求文書のファイルを作成します。 以下のファイル拡張子を持つファイルは暗号化しません。


  詳細

ファイルサイズ 150,528 bytes
タイプ EXE
メモリ常駐 なし
発見日 2024年7月11日
ペイロード システム情報の収集, ファイルの作成, 画像の表示, ファイルの暗号化, システムのレジストリの変更, プロセスの強制終了

侵入方法

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • bcdedit /set {current} safeboot network → if -safe commandline parameter is used.

マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。

  • Global\02a4da2bbb8d0a734e8e99f24165686e

他のシステム変更

マルウェアは、以下のレジストリ値を変更します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
AutoAdminLogon = 1 → if -safe commandline parameter is used

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
DefaultUserName = Administrator if -safe commandline parameter is used

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
DefaultDomainName = {Computer Domain Name} if -safe commandline parameter is used

プロセスの終了

マルウェアは、感染コンピュータ上で確認した以下のサービスを終了します。

  • vss
  • sql
  • svc$
  • memtas
  • mepocs
  • msexchange
  • sophos
  • veeam
  • backup
  • GxVss
  • GxBlr
  • GxFWD
  • GxCVD
  • GxCIMgr

マルウェアは、感染コンピュータ上で以下のプロセスが常駐されていることを確認した場合、そのプロセスを終了します。

  • sql
  • oracle
  • ocssd
  • dbsnmp
  • synctime
  • agntsvc
  • synctime
  • isqlplussvc
  • xfssvccon
  • mydesktopservice
  • ocautonupds
  • encsvc
  • firefox
  • tbirdconfig
  • mydesktopqos
  • ocomm
  • dbeng50
  • sqbcoreservice
  • excel
  • infopath
  • msaccess
  • mspub
  • onenote
  • outlook
  • powerpnt
  • steam
  • thebat
  • thunderbird
  • visio winword
  • wordpad
  • notepad

情報漏えい

マルウェアは、以下の情報を収集します。

  • Hostname
  • Username
  • OS version
  • Domain
  • Architecture
  • Language

その他

マルウェアは、以下を実行します。

  • If not executed with admin rights, it will attempt to relaunch itself as admin by elevating its privileges via bypassing UAC
  • It encrypts fixed, removable and network shares
  • It deletes files in recycle bin folder for removable and fixed drives
  • It uses WQL to delete shadow copies
  • It renames itself 26 times before deleting itself after encryption
  • It has the capability to print the ransom note in infected machines
  • It deletes the following services:
    • WdBoot
    • WdFilter
    • WdNisDrv
    • WdNisSvc
    • WinDefend
    • wscsvc
    • sppsvc
    • Sense
    • SecurityHealthService
  • It duplicates the token of the following:
    • explorer.exe - to gain privileged domain access
    • lsass.exe
    • TrustedInstaller - service is started if not yet running
  • It contains a list of username:password that it will use to log into domain controllers.

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • -safe →Reboots in safeboot, then encrypts the user's machine
  • -wall → Print ransom note on printers then deletes itself after renaming for 26 times.
  • -path {target} → Specifically encrypt the target, can be file or folder
  • -gspd → Perform Group Policy Modification for Lateral Movement
  • -gdel → Delete group policy updates
  • -del → Deletes itself after renaming for 26 times.

ランサムウェアの不正活動

マルウェアは、ファイル名に以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。

  • autorun.inf
  • boot.ini
  • bootfont.bin
  • bootsect.bak
  • d3d9caps.dat
  • desktop.ini
  • GDIPFONTCACHEV1.DAT
  • iconcache.db
  • ntldr
  • ntuser.dat
  • ntuser.dat.log
  • ntuser.ini
  • thumbs.db

マルウェアは、以下のフォルダ内で確認されたファイルの暗号化はしません。

  • $recycle.bin
  • $windows.~bt
  • $windows.~ws
  • all users
  • boot
  • config.msi
  • default
  • intel
  • microsoft
  • msocache
  • perflogs
  • program files
  • program files (x86)
  • programdata
  • public
  • system volume information
  • tor browser
  • windows
  • windows.old
  • x64dbg

マルウェアは、暗号化されたファイルのファイル名に以下の拡張子を追加します。

  • .FEZbmXrQn

マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。

  • {Discovered Folder}\FEZbmXrQn.README.txt

以下のファイル拡張子を持つファイルについては暗号化しません:

  • 386
  • adv
  • ani
  • bat
  • bin
  • cab
  • cmd
  • com
  • cpl
  • cur
  • deskthemepack
  • diagcab
  • diagcfg
  • diagpkg
  • dll
  • drv
  • exe
  • hlp
  • hta
  • icl
  • icns
  • ico
  • ics
  • idx
  • key
  • ldf
  • lnk
  • lock
  • mod
  • mpa
  • msc
  • msi
  • msp
  • msstyles
  • msu
  • nls
  • nomedia
  • ocx
  • pdb
  • prf
  • ps1
  • rom
  • rtp
  • scr
  • search-ms
  • shs
  • spl
  • sys
  • theme
  • themepack
  • wpx

<補足>
インストール

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • bcdedit /set {カレント} safeboot network → コマンドラインパラメータ「-safe」が使用されている場合

情報漏えい

マルウェアは、以下の情報を収集します。

  • ホスト名
  • ユーザ名
  • オペレーティングシステム(OS)のバージョン
  • ドメイン
  • アーキテクチャ
  • 言語

その他

マルウェアは、以下を実行します。

  • 管理者権限で実行されない場合、ユーザアカウント制御(UAC)をバイパスして権限を昇格させ、管理者として自身を再起動しようと試みます。
  • 固定ドライブ、リムーバブルドライブ、ネットワークドライブを暗号化します。
  • リムーバブルおよび固定ドライブに存在するごみ箱フォルダ内のファイルを削除します。
  • WMIクエリ言語(WQL)を用いてシャドウコピーを削除します。
  • 暗号化後、自身を削除するまでに26回名称を変更します。
  • 感染コンピュータ内に身代金要求文書(脅迫状)を表示する機能を備えています。
  • 以下のサービスを削除します。
    • WdBoot
    • WdFilter
    • WdNisDrv
    • WdNisSvc
    • WinDefend
    • wscsvc
    • sppsvc
    • Sense
    • SecurityHealthService
  • 以下のトークンを複製します。
    • explorer.exe - ドメインへの特権アクセスを取得する
    • lsass.exe
    • TrustedInstaller - サービスがまだ実行されていない場合は起動する
  • ドメインコントローラへのログインに用いる「ユーザ名とパスワード」のリストを備えています。

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • -safe → セーフモードで再起動した後、感染コンピュータを暗号化する
  • -wall → プリンターで身代金要求文書(脅迫状)を印刷した後、26回名称を変更し、自身を削除する
  • -path {対象} → 対象に指定されたファイルまたはフォルダに限定して暗号化する
  • -gspd → 内部活動・水平移動を実行するためにグループポリシーを変更する
  • -gdel → グループポリシーの更新を削除する
  • -del → 26回名称を変更した後、自身を削除する


  対応方法

対応検索エンジン: 9.800
初回 VSAPI パターンバージョン 19.462.03
初回 VSAPI パターンリリース日 2024年7月12日
VSAPI OPR パターンバージョン 19.463.00
VSAPI OPR パターンリリース日 2024年7月13日

手順 1

トレンドマイクロの機械学習型検索は、マルウェアの存在を示す兆候が確認された時点で検出し、マルウェアが実行される前にブロックします。機械学習型検索が有効になっている場合、弊社のウイルス対策製品はこのマルウェアを以下の機械学習型検出名として検出します。

    • Troj.Win32.TRX.XXPE50FFF082

手順 2

Windows 7、Windows 8、Windows 8.1、および Windows 10 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 3

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 4

このレジストリ値を削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • AutoAdminLogon = 1
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • DefaultUserName = Administrator
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • DefaultDomainName = {Computer Domain Name}

手順 5

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性の場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • {Discovered Folder}\FEZbmXrQn.README.txt

手順 6

最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、ウイルス検索を実行してください。「Ransom.Win32.RANESTATE.THGAABD」と検出したファイルはすべて削除してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。

手順 7

暗号化されたファイルをバックアップから復元します。


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