Trend Micro Security

Ransom.Win32.PHOBOS.THGOEAI

2019年8月22日
 解析者: Henry Alarcon Jr.   

 別名:

Trojan.TR/AD.PhobosRansom.nbrdh (F-Secure), Trojan.Ransom.Phobos, ALYac (ALYac ), Trojan:Win32/Occamy.C (Microsoft)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:


  • マルウェアタイプ: 身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)
  • 破壊活動の有無: なし
  • 暗号化: はい
  • 感染報告の有無: はい

  概要

感染経路 インターネットからのダウンロード, 他のマルウェアからの作成

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。


  詳細

ファイルサイズ 731,648 bytes
タイプ EXE
ファイル圧縮 Unknown
メモリ常駐 なし
発見日 2019年7月5日
ペイロード プロセスの強制終了, メッセージボックスの表示, ファイルの暗号化

侵入方法

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

マルウェアは、感染したコンピュータ内に以下のように自身のコピーを作成します。

  • %AppDataLocal%\{Malware File Name}.exe

(註:%AppDataLocal%フォルダは、ローカルアプリケーションデータフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Local" です。)

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • netsh advfirewall set currentprofile state off
  • netsh firewall set opmode mode=disable
  • "%System%\mshta.exe" "{Drive letter}\info.hta" -> Executes dropped ransom note
  • "%System%\mshta.exe" "%Desktop%\info.hta" -> Executes dropped ransom note
  • "%System%\mshta.exe" "%Public%\desktop\info.hta" -> Executes dropped ransom note

(註:%System%フォルダは、システムフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、"C:\Windows\System32" です。.. %Desktop%フォルダは、現在ログオンしているユーザのデスクトップです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Desktop" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\Desktop" です。. %Public%フォルダは、すべてのユーザ共通のファイルまたはフォルダのリポジトリとして機能するフォルダです。Windows Vista、7、8の場合、通常 "C:\Users\Public" です。)

マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。

  • Global\<>{Volume Serial Number}

自動実行方法

マルウェアは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Run
{Malware File Name} = "%AppDataLocal%\{malware file name}.exe"

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Run
{Malware File Name} = "%AppDataLocal%\{malware file name}.exe"

マルウェアは、<Common Startup>フォルダ内に以下のように自身のコピーを作成します。これにより、Windows起動時に自身のコピーの自動実行が可能となります。

  • %Common Startup%\{Malware File Name}.exe
  • %User Startup%\{Malware File Name}.exe

(註:%Common Startup%フォルダは、すべてのユーザのスタートアップフォルダです。Windows 2000、XP、Server 2003の場合、通常 "C:\Documents and Settings\All Users\Start Menu\Programs\Startup" です。また、Windows Vista、7、8の場合、通常 "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup" です。. %User Startup%フォルダは、現在ログオンしているユーザのスタートアップフォルダです。Windows 98およびMEの場合、通常 "C:\Windows\Profiles\<ユーザ名>\Start Menu\Programs\Startup" です。Windows NTの場合、通常 "C:\WINNT\Profiles\<ユーザ名>\Start Menu\Programs\Startup" です。Windows 2003(32-bit)、XP、2000(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Start Menu\Programs\Startup" です。Windows Vista、7、8、 8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup" です。)

他のシステム変更

マルウェアは、以下のレジストリキーを追加します。

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Internet Explorer\International\CpMRU

マルウェアは、以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Internet Explorer\International\CpMRU
Enable = 1

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Internet Explorer\International\CpMRU
Size = 10

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Internet Explorer\International\CpMRU
InitHits = 100

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Internet Explorer\International\CpMRU
Factor = 20

プロセスの終了

マルウェアは、感染コンピュータ上で以下のプロセスが常駐されていることを確認した場合、そのプロセスを終了します。

  • msftesql.exe
  • sqlagent.exe
  • sqlbrowser.exe
  • sqlservr.exe
  • sqlwriter.exe
  • oracle.exe
  • ocssd.exe
  • dbsnmp.exe
  • synctime.exe
  • agntsvc.exe
  • mydesktopqos.exe
  • isqlplussvc.exe
  • xfssvccon.exe
  • mydesktopservice.exe
  • ocautoupds.exe
  • agntsvc.exe
  • agntsvc.exe
  • agntsvc.exe
  • encsvc.exe
  • firefoxconfig.exe
  • tbirdconfig.exe
  • ocomm.exe
  • mysqld.exe
  • mysqld-nt.exe
  • mysqld-opt.exe
  • dbeng50.exe
  • sqbcoreservice.exe
  • excel.exe
  • infopath.exe
  • msaccess.exe
  • mspub.exe
  • onenote.exe
  • outlook.exe
  • powerpnt.exe
  • steam.exe
  • thebat.exe
  • thebat64.exe
  • thunderbird.exe
  • visio.exe
  • winword.exe
  • wordpad.exe

ランサムウェアの不正活動

マルウェアは、ファイル名に以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。

  • io.sys
  • boot.ini
  • bootfont.bin
  • ntldr
  • ntdetect.com
  • info.hta
  • info.txt
  • {Malware Filename.exe}

マルウェアは、ファイルパスに以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。

  • Users
  • {Username}
  • {Computer Name}
  • AppData
  • Roaming
  • Microsoft
  • Windows
  • Library

マルウェアは、暗号化されたファイルのファイル名に以下の拡張子を追加します。

  • {File Name}.{File Extension}.id[ID-Volume Serial Number].[burnofin@{BLOCKED}l.com].adage

マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。

  • {Drive Letter}\info.hta
  • %Desktop%\info.hta
  • %Public%\Desktop\info.txt
  • %Public%\Desktop\info.hta
  • %Desktop%\info.txt
  • {Drive Letter}\info.txt

(註:%Desktop%フォルダは、現在ログオンしているユーザのデスクトップです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Desktop" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\Desktop" です。. %Public%フォルダは、すべてのユーザ共通のファイルまたはフォルダのリポジトリとして機能するフォルダです。Windows Vista、7、8の場合、通常 "C:\Users\Public" です。)

マルウェアは、以下の内容を含む脅迫状のテキストファイルを残します。


  対応方法

対応検索エンジン: 9.850
初回 VSAPI パターンバージョン 15.216.02
初回 VSAPI パターンリリース日 2019年7月5日
VSAPI OPR パターンバージョン 15.217.00
VSAPI OPR パターンリリース日 2019年7月6日

手順 2

Windows XP、Windows Vista および Windows 7 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 3

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 4

「Ransom.Win32.PHOBOS.THGOEAI」で検出したファイル名を確認し、そのファイルを終了します。

[ 詳細 ]

  • すべての実行中プロセスが、Windows のタスクマネージャに表示されない場合があります。この場合、"Process Explorer" などのツールを使用しマルウェアのファイルを終了してください。"Process Explorer" については、こちらをご参照下さい。
  • 検出ファイルが、Windows のタスクマネージャまたは "Process Explorer" に表示されるものの、削除できない場合があります。この場合、コンピュータをセーフモードで再起動してください。
    セーフモードについては、こちらをご参照下さい。
  • 検出ファイルがタスクマネージャ上で表示されない場合、次の手順にお進みください。

手順 5

不明なレジストリキーを削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Internet Explorer\International\CpMRU

手順 6

このレジストリ値を削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
    • {Malware File Name} = "%AppDataLocal%\{malware file name}.exe"
  • In HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
    • {Malware File Name} = "%AppDataLocal%\{malware file name}.exe"

手順 7

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %AppDataLocal%\{Malware File Name}.exe
  • %Common Startup%\{Malware File Name}.exe
  • %User Startup%\{Malware File Name}.exe
  • {Drive Letter}\info.txt
  • {Drive Letter}\info.hta
  • %Desktop%\info.hta
  • %Desktop%\info.txt
  • %Public%\Desktop\info.hta
  • %Public%\Desktop\info.txt

手順 9

最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、ウイルス検索を実行してください。「Ransom.Win32.PHOBOS.THGOEAI」と検出したファイルはすべて削除してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。


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