Ransom.Win32.NOESCAPE.THFOEBC
Ransom:Win32/NoEscape.MKV!MTB (MICROSOFT)
Windows
- マルウェアタイプ: 身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)
- 破壊活動の有無: なし
- 暗号化: はい
- 感染報告の有無: はい
概要
マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
特定のフォルダ内のファイルを暗号化します。 身代金要求文書のファイルを作成します。 以下のファイル拡張子を持つファイルは暗号化しません。
詳細
侵入方法
マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
インストール
マルウェアは、感染したコンピュータ内に以下のように自身のコピーを作成します。
- %Application Data%\{Malware File Name}.exe
(註:%Application Data%フォルダは、現在ログオンしているユーザのアプリケーションデータフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。)
マルウェアは、以下のプロセスを追加します。
- wmic SHADOWCOPY DELETE /nointeractive
- wbadmin DELETE SYSTEMSTATEBACKUP -deleteOldest
- wbadmin DELETE SYSTEMSTATEBACKUP -keepVersions:0
- wbadmin DELETE BACKUP -deleteOldest
- wbadmin DELETE BACKUP -keepVersions:0
- vssadmin Delete Shadows /All /Quiet
- bcdedit /set {default} recoveryenabled No
- bcdedit /set {default} bootstatuspolicy ignoreallfailures
- cmd /c wmic SHADOWCOPY DELETE /nointeractive
- cmd /c wbadmin DELETE SYSTEMSTATEBACKUP -deleteOldest
- cmd /c wbadmin DELETE SYSTEMSTATEBACKUP -keepVersions:0
- cmd /c wbadmin DELETE BACKUP -deleteOldest
- cmd /c wbadmin DELETE BACKUP -keepVersions:0
- cmd /c vssadmin Delete Shadows /All /Quiet
- cmd /c bcdedit /set {default} recoveryenabled No
- cmd /c bcdedit /set {default} bootstatuspolicy ignoreallfailures
- cmd /c bcdedit /set safeboot network
マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。
- Global\{GUID}
自動実行方法
マルウェアは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
Shell = explorer.exe,%Application Data%\[Malware File Name}.exe
他のシステム変更
マルウェアは、以下のレジストリ値を追加します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Policies\
System
EnableLUA = 0
(註:変更前の上記レジストリ値は、「1」となります。)
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Policies\
System
ConsentPromptBehaviorAdmin = 0
(註:変更前の上記レジストリ値は、「5」となります。)
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Policies\
System
EnableLinkedConnections = 1
マルウェアは、コンピュータのデスクトップの壁紙に以下の画像を設定します。
- %Application Data%\wallpaper.jpg
プロセスの終了
マルウェアは、感染コンピュータ上で確認した以下のサービスを終了します。
- Culserver
- DefWatch
- GxBlr
- GxCIMgr
- GxCVD
- GxFWD
- GxVss
- QBCFMonitorService
- QBIDPService
- RTVscan
- SavRoam
- VMAuthdService
- VMUSBArbService
- VMnetDHCP
- VMwareHostd
- backup
- ccEvtMgr
- ccSetMgr
- dbeng8
- dbsrv12
- memtas
- mepocs
- msexchange
- msmdsrv
- sophos
- sql
- sqladhlp
- sqlagent
- sqlbrowser
- sqlservr
- sqlwriter
- svc$
- tomcat6
- veeam
- vmware-converter
- vmware-usbarbitator64
- vss
マルウェアは、感染コンピュータ上で以下のプロセスが常駐されていることを確認した場合、そのプロセスを終了します。
- 360doctor
- 360se
- Culture
- Defwatch
- GDscan
- MsDtSrvr
- QBCFMonitorService
- QBDBMgr
- QBIDPService
- QBW32
- RAgui
- RTVscan
- agntsvc
- agntsvcencsvc
- agntsvcisqlplussvc
- anvir
- anvir64
- apache
- axlbridge
- backup
- ccleaner
- ccleaner64
- dbeng50
- dbsnmp
- encsvc
- excel
- far
- fdhost
- fdlauncher
- httpd
- infopath
- isqlplussvc
- java
- kingdee
- msaccess
- msftesql
- mspub
- mydesktopqos
- mydesktopservice
- mysqld-nt
- mysqld-opt
- mysqld
- ncsvc
- ocautoupds
- ocomm
- ocssd
- onedrive
- onenote
- oracle
- outlook
- powerpnt
- procexp
- qbupdate
- sqbcoreservice
- sql
- sqlagent
- sqlbrowser
- sqlmangr
- sqlserver
- sqlservr
- sqlwriter
- steam
- supervise
- synctime
- taskkill
- tasklist
- tbirdconfig
- thebat
- thunderbird
- tomcat
- tomcat6
- u8
- ufida
- visio
- wdswfsafe
- winword
- wordpad
- wuauclt
- wxServer
- wxServerView
- xfssvccon
情報漏えい
マルウェアは、以下の情報を収集します。
- Computer Name
- Host Name
- Machine GUID
- User Language
- OEM Information
- Disk Drive Information
その他
マルウェアは、以下を実行します。
- It empties Recycle Bin of all drives.
- It dismounts disk images found in the system by running these processes:
- powershell Dismount-DiskImage -ImagePath {Full Path of Disk Image}
- cmd /c powershell Dismount-DiskImage -ImagePath {Full Path of Disk Image}
- It is capable of rebooting the system into safe mode with networking.
マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。
- -safe (This parameter reboots the system into safe mode with networking before encrypting files).
ランサムウェアの不正活動
マルウェアは、以下のディレクトリ内で確認されたファイルを暗号化します。
- {Exchange Install Path}\Mailbox
- %Program Files%\Microsoft SQL Server
- %Program Files%\Microsoft\Exchange Server
- %Program Files%\mysql
(註:%Program Files%フォルダは、デフォルトのプログラムファイルフォルダです。C:\Program Files in Windows 2000(32-bit)、Server 2003(32-bit)、XP、Vista(64-bit)、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files"です。また、Windows XP(64-bit)、Vista(64-bit)、7(64-bit)、8(64-bit)、8.1(64-bit)、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files(x86)" です。)
マルウェアは、ファイルパスに以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。
- %Public%
- %ProgramData%
- %Program Files%
- %System Root%\Users\All Users
- %Windows%
- %Temp%
- %User Profile%\AppData
- %Application Data%
(註:%Public%フォルダは、すべてのユーザ共通のファイルまたはフォルダのリポジトリとして機能するフォルダです。Windows Vista、7、8の場合、通常 "C:\Users\Public" です。. %ProgramData%フォルダは、マルチユーザーシステムにおいて任意のユーザがプログラムに変更を加えることができるプログラムファイルフォルダのバージョンです。これには、すべてのユーザのアプリケーションデータが含まれます。Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\ProgramData" です。Windows Server 2003(32-bit)、2000(32-bit)、XPの場合、通常 "C:\Documents and Settings\All Users" です。 . %Program Files%フォルダは、デフォルトのプログラムファイルフォルダです。C:\Program Files in Windows 2000(32-bit)、Server 2003(32-bit)、XP、Vista(64-bit)、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files"です。また、Windows XP(64-bit)、Vista(64-bit)、7(64-bit)、8(64-bit)、8.1(64-bit)、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files(x86)" です。. %System Root%フォルダは、オペレーティングシステム(OS)が存在する場所で、いずれのOSでも通常、 "C:" です。.. %Windows%フォルダは、Windowsが利用するフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、"C:\Windows" です。.. %Temp%フォルダは、一時的にファイルが保存されるフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、 "C:\Windows\Temp" です。.. %User Profile%フォルダは、現在ログオンしているユーザのプロファイルフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>"です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>" です。. %Application Data%フォルダは、現在ログオンしているユーザのアプリケーションデータフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。)
マルウェアは、以下のフォルダ内で確認されたファイルの暗号化はしません。
- AppData
- EFI
- Intel
- MSOCache
- Mozilla
- Program Files
- ProgramData
- Tor Browser
- Windows
- WINDOWS
- boot
- perflogs
- system volume information
- windows.old
マルウェアは、暗号化されたファイルのファイル名に以下の拡張子を追加します。
- .EACBHCJFI
マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。
- %Desktop%\HOW_TO_RECOVER_FILES.txt
- {File Path of Encrypted Files}\HOW_TO_RECOVER_FILES.txt
以下のファイル拡張子を持つファイルについては暗号化しません:
- .exe
- .bat
- .bin
- .cmd
- .com
- .cpl
- .dat
- .dll
- .drv
- .hta
- .ini
- .lnk
- .lock
- .log
- .mod
- .msc
- .msi
- .msp
- .pif
- .prf
- .rdp
- .scr
- .shs
- .swp
- .sys
- .theme
<補足>
情報漏えい
マルウェアは、以下の情報を収集します。
- コンピュータ名
- ホスト名
- コンピュータのグローバル一意識別子(GUID)
- ユーザ言語
- OEM情報
- ディスクドライブの情報
その他
マルウェアは、以下を実行します。
- すべてのドライブのごみ箱を空にします。
- 以下のプロセスを実行することで、感染コンピュータ内で見つかったディスクイメージをマウント解除します。
- powershell Dismount-DiskImage -ImagePath {ディスクイメージのフルパス}
- cmd /c powershell Dismount-DiskImage -ImagePath {ディスクイメージのフルパス}
- ネットワークを用いて感染コンピュータをセーフモードで再起動する可能性があります。
マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。
- -safe (このパラメータは、ファイルを暗号化する前に、ネットワークを用いて感染コンピュータをセーフモードで再起動します)
対応方法
手順 1
トレンドマイクロの機械学習型検索は、マルウェアの存在を示す兆候が確認された時点で検出し、マルウェアが実行される前にブロックします。機械学習型検索が有効になっている場合、弊社のウイルス対策製品はこのマルウェアを以下の機械学習型検出名として検出します。
- TROJ.Win32.TRX.XXPE50FFF070
手順 2
Windows 7、Windows 8、Windows 8.1、および Windows 10 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。
手順 3
このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。
手順 4
Windowsをセーフモードで再起動します。
手順 5
変更されたレジストリ値を修正します。
警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
事前に意図的に対象の設定を変更していた場合は、意図するオリジナルの設定に戻してください。変更する値が分からない場合は、システム管理者にお尋ねいただき、レジストリの編集はお客様の責任として行なって頂くようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System
- EnableLUA = 0
- EnableLUA = 1
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System
- ConsentPromptBehaviorAdmin = 0
- ConsentPromptBehaviorAdmin = 5
手順 6
このレジストリ値を削除します。
警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。
- In HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
- Shell = explorer.exe,%Application Data%\[Malware File Name}.exe
- Shell = explorer.exe,%Application Data%\[Malware File Name}.exe
- In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System
- EnableLinkedConnections = 1
- EnableLinkedConnections = 1
手順 7
以下のファイルを検索し削除します。
- %Application Data%\{Malware File Name}.exe
- %Application Data%\wallpaper.jpg
- %Desktop%\HOW_TO_RECOVER_FILES.txt
- {File Path of Encrypted Files}\HOW_TO_RECOVER_FILES.txt
手順 8
コンピュータを通常モードで再起動し、最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、「Ransom.Win32.NOESCAPE.THFOEBC」と検出したファイルの検索を実行してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。
手順 9
デスクトッププロパティを修正します。
手順 10
暗号化されたファイルをバックアップから復元します。
手順 11
最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、ウイルス検索を実行してください。「Ransom.Win32.NOESCAPE.THFOEBC」と検出したファイルはすべて削除してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。
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